1985
 
                30歳代から彫刻家として日本の第一線で活躍していた井上武吉は、40歳代半ばからの約10年間をベルリンとパリで過ごした。作者のライフワークともいえる《my sky hole》のシリーズが始まるのは1979年、まさに滞欧生活の半ばであった。《Plus and Minus》シリーズ、《箱》シリーズなどで既に安定した自分の世界を築いていた作者が、異文化での生活の中で新たに目覚めた壮大な境地といえよう。作者自らが《my sky hole 79》の発表に際してこう語っている。「ぽくだけが地球の鼓動を聞くことのできる場所、ぽくだけが宇宙を語れる場所が欲しい」。一見様々なヴァリエーションがある《my sky hole》シリーズの特質はほとんどこの言葉に集約される。上野や広島にあるステンレス・スティールの球体が宇宙を映し出す鏡であるとすれば、この《my sky hole 85-9》は大地の鼓動を伝えている。円盤の一部を切り取ったような20個の固体は、何万年も隆起してやまない造山運動か、一斉に芽を吹く雨後の竹の子のように、大地の生命力を表しているのである。(M.S.)
1930-1997
| ジャンル | 彫刻・インスタレーションほか | 
|---|---|
| 材質・技法 | 鉄 | 
| 寸法 | 20点組:各26×140cm | 
| 受入年度 | 1985 | 
| 受入区分 | 購入 | 
| 作品/資料番号 | 1975-00-4019-000 | 
| Title | my sky hole 85-9 | 
|---|---|
| Genre | Sculptures,installations | 
| Material/technique | Iron | 
| Dimensions | 20点組:各26×140cm | 
| Acquisition date | 1985 | 
| Accession number | 1975-00-4019-000 |