1965
人間の「耳」が、人の背丈ほどもある大きなオブジェに変身し、鈍く不気味に輝いている。「耳」を彫刻にするという奇抜な発想に我々は衝撃を受け、その突然の出現に驚かされる。そして、なぜ「耳」なのかという思いにとりつかれる。だが、こちらの驚きや疑問をこの「耳」は、冷たく無視する。「これは耳である」というあまりの単純明快さゆえに、それがどういう意味を持つのかは作者にさえ説明がつかない。「友人の家で突然何メートルにも耳を拡大させるという、ふってわいたような思いにとりつかれた時、そのあまりにも『ばかばかしい』想像に興奮してしまった」という作者は、20歳代の半ばから「耳」をモティーフとした作品をつくり始め、決して長くはないその一生を「耳」の制作に捧げた。あるいは「耳が私を選んだ」という三木の言葉に従えば、作家は「耳」に魅入られ、その呪縛から逃れることができないままに、「耳」の制作に生命を燃やし尽くした。アルミ合金製のこの「耳」は、身体の一部というよりも、人の心の謎そのものであるようだ。(Y.S.)
1937-1978
ジャンル | 彫刻・インスタレーションほか |
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材質・技法 | アルミ合金 |
寸法 | H.170cm |
受入年度 | 1979 |
受入区分 | 購入 |
作品/資料番号 | 1975-00-4150-000 |
キーワード | 1983 「現代美術の動向II 1960年代―多様化への出発」東京都美術館 |
Title | EAR |
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Genre | Sculptures,installations |
Material/technique | Aluminum alloy |
Dimensions | H.170cm |
Acquisition date | 1979 |
Accession number | 1975-00-4150-000 |
Keyword | 1983 「現代美術の動向II 1960年代―多様化への出発」東京都美術館 |