1962
古来より円は、幾何学的に最も簡潔な構造を持つが故に、理想的な形態と見做されてきた。その円を主要モチーフとすることについてオノサトは、「あらゆるものの原形として円があるということで、原初的な状態で実在を発見することを要求している私の態度が、幾何学的な基本形態を必要としたのだ」と打ち明ける。そしてその構造については「画面には上も下もなくなって、左右も同じ。どちらからみても、まったく同じ繰り返し模様である」。画面全体は様々なオレンジ色の小さな長方形で細かく分割され、もはや円と地の境もなく、ただ鮮やかな色点が錯視的な効果を上げるばかりなのだ。
シベリア抑留の後、オノサトは桐生で養鶏と美術教師の仕事の傍ら、抽象絵画の制作を再開する。64年の第32回ヴェネツィア・ビエンナーレの出品の後、本作は永らく瑛久(当館収蔵)、磯辺行久らの作品4点と共に、友人の評論家久保貞次郎邸の蔵の外壁を飾っていた。
1912-1986
ジャンル | 絵画 |
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材質・技法 | 油彩/合板 |
寸法 | 136.4×334.9cm |
受入年度 | 1989 |
受入区分 | 購入 |
作品/資料番号 | 1989-00-0050-000 |
Title | Wall Paintings A・B・C・D |
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Genre | Paintings |
Material/technique | Oil on plywood |
Dimensions | 136.4×334.9cm |
Acquisition date | 1989 |
Accession number | 1989-00-0050-000 |