1987
アメリカの大都市近郊に典型的な、裕福な中流階級の住宅地の情景である。裏庭の芝生で、少年とその母親と思われる中年の女性が、裸になってキャッチボールをしている。タイトルが暗示するのは、父親不在の家庭のエディプス・コンプレックス的母子関係であろうか。明暗半々に分かれた家屋の描写は、それを象徴的に表現する。少年と母親と家屋とをそれぞれ中心に据えた3枚のカンヴァスを、少しずつずらせながら連続させる構成は、映画を思わせる劇的な広がりと時間的要素を導き入れている。最初、抽象絵画を描いていたフィッシュルは、1970年代中頃より具象的な表現に転じ、1979年の《夢遊病者》に至って今日の作風を確立した。上層中流階級の快楽追求的な生活様式に取材し、家族や社会のなかで生きていかねばならない人間が直面する性的な葛藤や心理的な問題を扱ったものが多い。1980年代アメリカ絵画における人物主題の復活を代表するとともに、今日のアメリカ社会の心理的な肖像を赤裸々に描く画家として、高く評価されている。(Y.M.)
1948-
ジャンル | 絵画 |
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材質・技法 | 油彩/カンヴァス |
寸法 | 299.7×449.5cm |
受入年度 | 1991 |
受入区分 | 購入 |
作品/資料番号 | 1991-00-0045-000 |
コピーライト | © 2024 Erick Fischl / ARS, New York / JASPAR, Tokyo E5461 |
Title | Growing Up in the Company of Woman Ⅰ |
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Genre | Paintings |
Material/technique | Oil on canvas |
Dimensions | 299.7×449.5cm |
Acquisition date | 1991 |
Accession number | 1991-00-0045-000 |
Copyright | © 2024 Erick Fischl / ARS, New York / JASPAR, Tokyo E5461 |