1962
何かが眼前で破裂し、その中から大量の絵具がカンヴァスに流出していくかのようだ。緩慢な動きが画面全体に拡がり、ゆるやかな曲線が生み出された。赤、黄、緑といった原色のエナメル絵具を使用することで、油絵具にはない軽快な調子が現れている。どこかユーモラスな右側の瓢箪形と左の細い流線は、1960年代に元永が特に好んで使った型であり、この二つを組み合わせて数々の作品が生み出された。1955年から1971年の長きにわたって具体美術協会の主要メンバーとして活躍した元永は、1959年頃に独自の「流し」という技法で新境地を開いた。これは日本画の「たらしこみ」の技法を応用したもので、床置きしたカンヴァス上に絵具を落とし、カンヴァスを傾けて流していく手法である。絵具の量、カンヴァスの傾斜の度合いによって、絵具の軌跡が福雑な曲線を描き出す。一見、偶発的な意匠のようだが、「明確なフォルムが底にある。つまり下絵がある」。フォルムに対する元永の鋭敏な感覚が見事に表現された一枚。
1922-2011
| ジャンル | 絵画 |
|---|---|
| 材質・技法 | エナメル/カンヴァス |
| 寸法 | 173×274cm |
| 受入年度 | 1978 |
| 受入区分 | 購入 |
| 作品/資料番号 | 1975-00-0520-000 |
| Title | Work |
|---|---|
| Genre | Paintings |
| Material/technique | Enamel on canvas |
| Dimensions | 173×274cm |
| Acquisition date | 1978 |
| Accession number | 1975-00-0520-000 |