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ふくいちライブカメラを指さす

指差し作業員

2011

2011年8月のある日、福島第一原発の現況をネット上でリアルタイムで伝えてきたライブカメラの前に、一人の作業員が立ち、およそ20分間にわたってこちらを指差すという出来事がありました。この人物は数日後にネット上で、政府や東京電力に対し、労働環境などについての提言を行い、さらに自分の行為が、ヴィト・アコンチが25分間にわたって画面の中心を指差し続ける映像作品《センターズ》(1971)を引用したパフォーマンスであったことを明かしました。
「現場」の中心からこちらを指差す行為は、見る/見られるという視線と映像をめぐる一方通行の関係を反転させます。同時に彼は、スマートフォンで自身の姿を確認しながら、自分をも指差しており、メディア上で情報を発信する際に起こりうる、閉じたナルシシズムにも批評の目を向けているようです。
その映像の録画である本作品は、後に、竹内公太(1982-)の個展「公然の秘密」で音声を加えて発表されました。諸状況から竹内はこの作業員本人ではないかと推察されるにも関わらず、それを認めません。映像だけからはその同一性を安易に確定すべきでないと主張するのです。様々なものが可視化されているはずのネット社会にも関わらず、見えないことにされるもの。「公然の秘密」。そこに、不可視の放射能によって置き去りにされる明確な「現場」を比喩的に重ね合わせてみることもできるかもしれません。

作家プロフィール

指差し作業員 Finger Pointing Worker

作品情報

ジャンル映像
材質・技法シングル・チャンネル・ビデオ
寸法24分50秒
受入年度2012
受入区分購入
作品/資料番号2012-00-0053-000
時間24分50秒
エディションEd. 3/10
フォトクレジット撮影:椎木静寧
TitlePointing at Fukuichi Live Cam
GenreVideo,film
Material/techniqueSingle channel video
Dimensions24分50秒
Acquisition date2012
Accession number2012-00-0053-000
EditionEd. 3/10
Photo CreditPhoto: Shizune Shiigi

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