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母子

麻生 三郎

1948

日本的フォーヴィスムが主流であった昭和前半期の美術界において、麻生三郎は近代絵画の持つ色彩主義に背を向け、独特の明暗処理法と量感表現により人間の内的心情の表出を試みた画家である。本作品は麻生が敗戦以後に取り組んだ母子像のシリーズのひとつであるが、幾重にも塗り重ねられた暗色のマテイエールの中から浮かび上がる母子の姿は、戦後の混乱と窮乏のもとで生きなければならない庶民の不安感を漂わせている。このような印象は、明暗法の原則に反して背景と対象の明暗のコントラストを弱め、線を用いず面により量感を表す彼独特の手法によるものである。1960年代以降、麻生はこの画風をしりぞけ、デフォルメされた人間像や肉塊などが、晦渋なマテイエールの背景と等価値に描かれた抽象的な画面構成を展開した。

作家プロフィール

麻生 三郎 ASO Saburo

1913-2000

1913 東京に生まれる
1930-33 太平洋美術学校で学ぶ
1935 最初の個展(東京,紀伊国屋画廊)
1952-81 武蔵野美術学校(武蔵野美術大学)教授
1959 「第5回日本国際美術展」優秀賞受賞
1963 芸術選奨文部大臣賞受賞
1979 回顧展(東京都美術館)
1999 東京にて死去

作品情報

ジャンル絵画
材質・技法油彩/カンヴァス
寸法91×60.5cm
受入年度1979
受入区分購入
作品/資料番号1975-00-0014-000
TitleMother and Child
GenrePaintings
Material/techniqueOil on canvas
Dimensions91×60.5cm
Acquisition date1979
Accession number1975-00-0014-000

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