コレクション検索

詳細検索

無題 #3

アグネス・マーティン

1984

カナダで育ち、アメリカに移住した後も西部での生活を好んだ作者は、当初風景画を描いていた。その作品が自然のエレメントを想起させる有機的な抽象からさらに幾何学的な抽象に移行したのは1960年前後であり、1964年までには、ペイントしたカンヴァスに鉛筆で格子や水平線を描くようになった。一見したところ幾何学的な画面はしばしば同時代のミニマリズムに関連づけられる。しかし絵画を超越的な完全性と精神性の伝達手段と考えていたマーティンは、むしろニューマンやロスコら抽象表現主義の画家の影響下にあったといえよう。通常下塗りに使われるジェッソが塗られた画面は鉛筆の線が表面の粗い粒子を際立たせ、その物質性を印象づける。しかし離れて見ると規則的に引かれた線は、カンヴァスの織り目とジェッソの層によって揺れを生じ、正方形の画面内に空間の振動を喚起する。絵画は風景画のフォーマットでもある水平の構造を抽出するのみならず、こうした効果によって自然に対する人間の感情の容器となるのである。(C.H.)

作家プロフィール

アグネス・マーティン Agnes MARTIN

1912-2004

作品情報

ジャンル絵画
材質・技法アクリル、ジェッソ、鉛筆/カンヴァス
寸法182.9×182.9cm
受入年度1992
受入区分購入
作品/資料番号1992-00-0046-000
コピーライト© 2024 Agnes Martin Foundation, New York /ARS, NY/ JASPAR, Tokyo E5461
TitleUntitled #3
GenrePaintings
Material/techniqueAcrylic, gesso and pencil on canvas
Dimensions182.9×182.9cm
Acquisition date1992
Accession number1992-00-0046-000
Copyright© 2024 Agnes Martin Foundation, New York /ARS, NY/ JASPAR, Tokyo E5461

同じ制作年の作品

詳しく見る