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六面体

飯田 善國

1978

色鮮やかな紐(ナイロン製のロープ)が飯田善國の彫刻に登場するようになるのは、1970年代に入ってからのことである。六面体が二つ並んでいるこの作品は、片方は鉛、もう一方はステンレスでできており、双方の大きさと形を同じものにすることにより、それぞれの素材の違いが対比され、強調されている。鉛は、重さと内部への集中を感じさせ、ステンレスは軽さと外界への開放性を感じさせる。その対照的な性質のものをつなぐロープには、青や紫の色がついており、色彩のない金属とは全く別の世界に属すものであることを示している。このロープの色は、実は作者が自分の感性に従って、Lは青というようにアルファベットの26文字を色に変換したものである。英語で鉛はLEAD、ステンレスはSTAINLESS STEELであり、作者は、この二つの言葉から共通するアルファベットを選び、それをロープの色に置き換えている。六面体に添えられたナイロン製ロープは、馬の手綱のように金属製の二つの物体をコントロールしている。その点にこの彫刻のユニークさがある。左右合計16本のロープが重要な役目を果たしていることは当然だが、文字という記号を操りながら生きてゆく人間の精神活動そのものが、この彫刻の主役だとも考えられる。(Y.S.)

作家プロフィール

飯田 善國 IIDA Yoshikuni

1923-2006

1923 栃木県足利市に生まれる
1953 東京芸術大学絵画科卒業
1956 ローマに渡る
1968 「第1回神戸須磨離宮公園現代彫刻展」にて大賞受賞
1988 「つながれた形の間に―飯田善國展」(三重県立美術館)
2006 長野県にて死去

作品情報

ジャンル彫刻・インスタレーションほか
材質・技法ステンレス、鉛、ロープ
寸法各100×100×30cm
受入年度1978
受入区分購入
作品/資料番号1975-00-4010-000
TitleHexahedrons
GenreSculptures,installations
Material/techniqueStainless steel, lead, colored nylon rope
Dimensions各100×100×30cm
Acquisition date1978
Accession number1975-00-4010-000

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