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赤い蛇

杉全 直

1948

鬱蒼と繁る植物と一体化したかのような女性たち、その中に腕を寄せ合う一組の男女が見える。そして彼らを取り巻くように、蛇がとぐろを巻いて画面を覆っている。《赤い蛇》という題名は、創世記に記された楽園と関係がありそうだ。在学中に「のりうつるほど見た」というエルンスト等の影響で、杉全がシュルレアリスムを標榜する美術文化協会に所属していたのは1939年から53年までのことである。その中で、敗戦とその直後の時期の作品には、《赤い蛇》のように、神話や聖書などに題材を採ったものが散見される。それは、個人的な幻想を超えた人類の原初のときへの関心と重なるものかもしれない。しかし、戦時中禁止されたシュルレアリスムの手法を、戦後の食料難のなか畑仕事の合間に再びとりあげたとき、「戦中戦後の激動を盛り込み、何かをはき出したい」という願いは裏切られた。「現実がはるかに超であるためか、その方法が形骸化され、脱け殻同然に思われたのである。」 60年代に、杉全は「きっこう」をモティーフとして、抽象絵画に転機を見いだすことになる。