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女と鶏

脇田 和

1959

ドイツにて4年間素描を学んだ脇田は、戦災を契機に写実に徹した態度を離れ、描写すること(具象)とつくること(抽象)の二つに足を掛け、その重心を移動させながら活動を展開する。1955年頃よりつくることに集中し、画面の中心をなすものとしてデフォルメされた鳥を描くことで、自らの明確な主張を打ち出すようになる。本作品にもあるように、鳥は人物(特に子供)と併せて脇田の作品に頻繁に登場するモティーフである。それは「ラブリーな取材」である一方、こちらの言うことを容易に聞かない「手強い対象物」でもある。脇田はそうした存在を長い間見つめ、豊かな感情を通わせることで、自らのものとして描き続けている。本作品では、薄塗りのマチエールによる微妙な色のひびきあいが穏やかな温もりを感じさせる一方、女性と鶏のなす硬質なフォルムと垂直軸・水平軸とが画面に堅固さを与えている。そこには、モティーフの甘さや弱さに溺れぬ非情さ、既成の形に抵抗する程に斬新なものを生み出そうとする意識が宿っているように思われる。(A.F.)

作家プロフィール

脇田 和 WAKITA Kazu

1908-2005

作品情報

ジャンル絵画
材質・技法油彩/カンヴァス
寸法89×115cm
受入年度1989
受入区分購入
作品/資料番号1989-00-0049-000
TitleWoman with a Hen
GenrePaintings
Material/techniqueOil on canvas
Dimensions89×115cm
Acquisition date1989
Accession number1989-00-0049-000

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