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雨の像

棚田 康司

2016

棚田康司(1968-)は、これまで30年以上にわたって人体像を追求してきた彫刻家です。自身の顔や手から型取りしたFRPを付した像を経て、2001年のベルリン滞在を契機として、一木造り(仏像制作に見られる、胴体を一つの木材から作る手法)に取り組んできました。中でも、独特の細い四肢と表情を持つ、丁寧に彩色された少年や少女の像は、大人と子供、生と死といった人の生の境界にある脆さと強靭さを備えたものとして作家の代表的な作風となりました。
《雨の像》は、一木造りで初めて本格的に制作された成人女性像です。モデルは、インドネシアのスンダ地方出身の女性。2015年のインドネシア、バンドゥンでの2ヶ月の滞在をもとにして制作されました。「立っているそのままを表現したい」と作家が言う通り、膝を軽く曲げ、控えめに体を捩じって自然体で立つ女性の姿が、静かな、しかし鮮烈な印象を残します。木の調子を見据えた彩色により、降り注ぐ雨や水の流れと緩やかな身体のイメージが重なり、像の背景をも彷彿させる一つの空間が立ち現れます。自然な身振りの中に伸びやかな強さを感じさせる、個別的でありながら普遍性を持った像が誕生しました。一貫して人に向かう棚田の仕事は、木彫の歴史に触れつつ、私たちの生を受け止め、その在り方を探り続ける試みにほかなりません。

作家プロフィール

棚田 康司 TANADA Koji

1968-

作品情報

ジャンル彫刻・インスタレーションほか
材質・技法樟材の一木造りに彩色
寸法207×65×64cm
受入年度2016
受入区分購入
作品/資料番号2016-00-0001-000
フォトクレジット撮影:大谷一郎
TitleStatue of Rain
GenreSculptures,installations
Material/techniquePainted single-block wood (camphor tree)
Dimensions207×65×64cm
Acquisition date2016
Accession number2016-00-0001-000
Photo CreditPhoto: Ichiro Otani

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