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キリスト

ギルバート&ジョージ

1980

初期の頃、自らを「生きている彫刻」として提示するパフォーマンスを行っていたギルバート・アンド・ジョージは、1971年から写真を使用した作品を発表し始めた。彼らの写真に共通するのは、モノクロや原色の加工を施された複数の写真をパネルに額装し、格子状に組み合わせイメージを構成してゆく点である。多くの作品にはスーツ姿の彼ら自身が匿名的なキャラクターとして登場するが、そのテーマが次第に現代人の日常生活の様々な問題に拡大していったことは、彼らが主張する「全ての人の為の芸術」の当然の帰結と言える。この《キリスト》をはじめ1980年に制作された一連の作品では、人種や性、宗教、階級という社会制度による抑圧や、不況による失業の中で希望を失ったイギリスの若者たちの不安をモニュメンタルに描きだした。作風がホモセクシャルの性を意識させることから、このキリストの表現にも性に関する古い道徳的価値への批判を読み取ることができる。(T.I.)