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赤の中の黒

マーク・ロスコ

1958

アメリカへ移住したユダヤ系ロシア人ロスコ(ロスコヴィッチ)の前半生は、世界大恐慌に巻き込まれた苦難の時代であった。苦しい生活と同様に画業もまた試行錯誤を重ね、ようやく自己のスタイルに到達した時には齢50の坂を越えようとしていた。それは太陽を背後に隠した雲、あるいは光を内に秘めた霧を連想させるような色彩の帯が画面に漂う独特な抽象絵画である。《赤の中の黒》もその中のひとつ、50代半ばの最も円熟した時期のもので、赤と黒の対比、とりわけ明快な黒の色層が特徴的な1枚である。この作品に見られるような、人をいつのまにか画中へ引き込んでいく一種神秘的、眼想的な世界は次第に理解者を増やし、作者58歳の時にニューヨーク近代美術館で回顧展が開催された。その後も大器晩成の画家らしく精力的に活動していたが、68歳で大動脈癌を発病すると、高齢で不遇な芸術家を援助するためにロスコ財団を設立し、翌年、ニューヨークのスタジオで人知れず自殺を遂げた。(M.S.)

作家プロフィール

マーク・ロスコ Mark ROTHKO

1903-1970

作品情報

ジャンル絵画
材質・技法油彩/カンヴァス
寸法176.5×233.7cm
受入年度1991
受入区分購入
作品/資料番号1992-00-0015-000
コピーライト© 1998 Kate Rothko Prizel & Christopher Rothko/ ARS, NY/ JASPAR, Tokyo E5461
TitleBlack Area in Red
GenrePaintings
Material/techniqueOil on canvas
Dimensions176.5×233.7cm
Acquisition date1991
Accession number1992-00-0015-000
Copyright© 1998 Kate Rothko Prizel & Christopher Rothko/ ARS, NY/ JASPAR, Tokyo E5461

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