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無題(女)

ウィレム・デ・クーニング

1966-67

抽象表現主義の絵画は、作品を何らかの物や主題を描き写したものとしてではなく、画布に面した画家の行為の軌跡としてとらえることから、アクション・ペインティングとも称される。1953年春、デ・クーニングがシドニー・ジャニス・ギャラリーでの個展で《女》のシリーズを発表した時、それが具象への回帰であると批判する者もあった。しかし、彼自身は決して意識的に具象を捨てたことはなく、中でも女性像は、1940年代から一貫して彼が描いてきた主題である。
《女》のシリーズの中でも、1960年代半ばに描かれた本作では、彼の50年代の女性像に特徴的であった不敵な笑顔は力強い筆触と錯綜する色彩にかき消え、肢体はグレーの描線を手掛かりにしても殆ど判別がつかない。つまり主題であるはずの女性像は、背景とも肌の色ともつかないピンクの地に暖昧に立ち現れてくるのみなのである。一枚の絵画を前にそれが具象か抽象かを問題にすることの無意味さを主張していたデ・クーニングは、かつて「すべての絵には顔がある。」と皮肉交じりに言っているが、この一見抽象画にも見えるような《女》では、画面全体がひとつの「顔」として、見る者を招いているとも言えよう。(K.O.)

作家プロフィール

ウィレム・デ・クーニング Willem DE KOONING

1904-1997

作品情報

ジャンル絵画
材質・技法油彩/紙、カンヴァス
寸法190.5×109.2cm
受入年度1992
受入区分購入
作品/資料番号1992-00-0032-000
コピーライト© 2018 The William de Kooning Foundation, NY/ ARS, NY & JASPAR, Tokyo E4823
TitleUntitled (Woman)
GenrePaintings
Material/techniqueOil on paper, canvas
Dimensions190.5×109.2cm
Acquisition date1992
Accession number1992-00-0032-000
Copyright© 2018 The William de Kooning Foundation, NY/ ARS, NY & JASPAR, Tokyo E4823