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スワンの午睡

髙柳 恵里

1997

1980年代半ばから発表を重ねている高柳の仕事は、常に物と行為のかかわりを「たずねる」性格を持っている。手がかりをつかんで所在の明らかでないものをさがし求めること。私たちが彼女の作品に対峙したときの感覚もこれに近いかもしれない。そこに漂う様子や気配、質感や表情へのひっかかり、知っているはずだが何かが違うようだ、という微かな感覚が、その作品と私たちを結び付ける。
その作品は、常に個人的な気づきから始まるという。気になる事物と出会い、「その物のもつ複雑さを簡単にしないように」向き合い、扱うことで、物についてある事態が生じる―扱われたものの質がまざまざと現れてくる―そのようなプロセスの全体が、作品を成り立たせている。《スワンの午睡》や《緑園》においては、雑巾やハンカチといった素材の「複雑さ」を、素材に応じて注意深く扱う手ごたえの中から、自身が「見るべきもの」と認めた事態を提示するのである。
作家は、制作において、物と自身を、それぞれがまとっている言葉や意味から「解放」し、「それだけが持つ固有の感触を持つもの、独立したもの」を実感したいと言う。私たちは、身の回りにある事物のありさまやそれとの関わり方を、ごく自然に判断しすぎているかもしれず、高柳の作品は、その判断を逆に照らし出すものといえよう。

作家プロフィール

髙柳 恵里 TAKAYANAGI Eri

1962-

作品情報

ジャンル彫刻・インスタレーションほか
材質・技法雑巾
寸法8.5×9×11cm
受入年度2004
受入区分寄贈
作品/資料番号2004-00-0006-000
フォトクレジット撮影:大谷一郎
TitleNap of Swan
GenreSculptures,installations
Material/techniqueDustcloth
Dimensions8.5×9×11cm
Acquisition date2004
Accession number2004-00-0006-000
Photo CreditPhoto: Ichiro Otani

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